香り。
とてもわがままかもしれないけれど、好きな人以外の匂いが自分の周りにあるのが我慢できない。
あの人が、私たちの前で話を終えて、部屋のドアを開け、出て行く。業務上、あの人が出て行くと、いつも、違う人が入ってくる。私は、まだあの人がいたこの空間の余韻に浸っているのに、その人の嫌な煙草の匂いが無理矢理私の嗅覚に入りこんでくる。
私は、いてもたってもいられなくなって、袖を伸ばして口と鼻にあてる。感じただけでときめきそうな香りをまとうあなたを思い出して、服はまだ、あの人に染まっているままだよね、って唱えながら。
あなたがいるだけで、その空間はとても輝いて見えるのに、あなたがいない空間は、本当に灰色のコンクリート。
みんなの前で、「きついよね〜。あ、俺がだよ?」って言うほどだもんね。
身体には気をつけてくださいね。
あなたがいつも笑顔で過ごせますように。